美術館ざんまい
今月は宝塚に行くことができないので、代わりにいろんな美術館に行くことにしました。
6日はあべのハルカス美術館の「北斎-富士を超えて-」、12日には兵庫県立美術館の「大エルミタージュ美術館展」を見てきました。
美術館のハシゴはしたことあるけど、毎週行くなんて初めてかもしれません。

まず「北斎」。
いや~パワフルでした!
北斎は90歳で死ぬまで現役で絵を描き続けていたので作品の数も多いです。
もちろん「富嶽百景」もあります。
「赤富士」と呼ばれる「凱風快晴」が最初に刷られたときはあんまり赤くなかったという意外な事実も。
赤というよりも薄い赤茶色で、赤っぽく見えるから「赤富士」だったんだろうけど、「赤富士」の呼び名が印象深くてどんどん赤くなっていったのかな?
ところで、北斎の肉筆画というのはあまり見たことがなかったんですが、今回の展覧会では刷った作品と同量くらいたくさん見ることができました。
筆跡が見えないような描き方のものもあるのに、筆遣いが伝わってくるようで、やはりパワフル。
北斎というとちょっと変わったオジサンという印象があるんですが、たしかにエキセントリックな面はあったにせよ、絵についてはとても真面目、かつ、とても熱中していたように思えました。
それにしても、海外に出て行った作品の多いこと。
100年ほど前、ヨーロッパでジャポニスムというものが流行しましたが、その時にかなり収集した人がいたのでしょうね。

「大エルミタージュ美術館展」は「大」というより「中」くらいの規模でしたが(笑)、国ごとにまとめられていて(フランドルやスペインはバロック、フランスはロココというふうに時代ごとにもなっている)、特徴が分かりやすく、面白かったです。
陸続きとはいえ、外国の名画をよくこんなにたくさん、しかもセンス良く集めたなと思います。
そういえば、ソ連の時代は個人が持っていた美術品を国有としたために(実質的な強奪だよね。おそろしい)、素晴らしい絵画がけっこう集まったみたいですよ。
全体的に見て、私はスペインの絵画がけっこう好きなようです。バロックで色彩や動きがドラマチックに見えるからかな。
あ、でも初めのほうに展示されてたティツィアーノも良かった(そういえば、ティツィアーノもスペイン王の肖像画とか描いてたな)。
「羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像」、写真で見た時はそうとも思わなかったんですが、実際に見てみると、彼の代表作「ウルビーノのヴィーナス」に表情が似てますね。
とか思っていたら、来年はプラド美術館展があるそうです。
今回、ベラスケスはなかったので、ベラスケスが見たいな~。
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「怖い絵」展
25日に、兵庫県立美術館の「怖い絵」展を見てきました。
ベストセラーになった本が展覧会になるとあって、友達がお盆に見に行った時はものすごく混んでいたそうです。
今回はさすがに並ぶほどではなかったけど、次から次へと人が来る感じ。

最初のうちは「セイレーン」など、「女が男を喰う」(もちろん魔物とか魔女よ)モチーフが続き、「どんだけドMなんだよ~」とか思っている余裕があったんですが、そのうちに本当に怖いと感じる絵に遭遇しました。
ドガが描いた戦争の絵です。
思わず目を覆いたくなるような虐殺のスケッチに、ドガの激しい憤りが感じられます。
本当に怖いのは魔物ではなく人間です。機会さえ与えられればどこまでも残虐になることができる人間こそが魔物です。
やっぱり、歴史的な出来事など、現実の人間を描いたものが一番身に堪えたなぁ…。
たとえば「レディ・ジェーン・グレイの処刑」。
政治的状況ひとつでこんなに若く美しい娘が処刑されなければならないという哀れさ、運命の残酷さ。
(けれども、ジェーン・グレイ自身は、みずから首を差し伸べる台を探している姿から、必ずしも死を恐れていないように思えます。わずか9日で廃位されたとはいえ、女王として気高く、潔く散っていこうとしているのかもしれません。)
また、「メデュース号の筏」。
(これは模写でした。さすがにルーブル美術館の目立つ所に展示されている本物は無理だったか…)。
ただ見るだけでも辛くなるような絵ですが、描かれた出来事については、「怖い絵」の著者・中野京子さんが様々なところに詳しく書かれているので、その話を思い出しながら見ると、まさに身の毛もよだつ残酷さ。
貴族たちによって筏に打ち捨てられた人々はどんな恐怖の中にいたのか、また、身分が下だというだけで、人間は人間をこんな目に遭わすのかと思うと、本当に怖いです。

「怖い絵」の本はとてもおもしろいため、この展覧会も最初はホラー映画的な興味で見始めましたが(でも私、ホラー見れないんだよね…)、実際に生で見て、人間の心に潜む「悪」ってこんなに恐ろしいものなんだとまざまざ気づかされました。
一番肝心なのは、その「悪」を起こさないようにするにはどうすれば良いか?ということなのかもねぇ…。

P・S  展示されている「ジン横丁」にちなんで、ミュージアムショップにジン(酒)が売られていたんですが、貧困とアルコール中毒を真っ正面から描いたあの絵を見て、これを買う人がいるのだろうか?と思ってしまいました(笑)。
まぁ、実際に売り上げを期待しているというよりは一種の洒落?諧謔?なのかな。
快慶
またまた周回遅れなレポでごめんなさい。
今月4日まで開催していた、奈良国立博物館の「快慶」展を見てきました。
運慶と並び称される仏師・快慶(この二人は兄弟弟子です)。
その作風は端正で、この上なく優雅、静謐。
私が見たいと思っていた僧形八幡神像もそのライン上にあります。
しかし、そればかりかと思うとそうではなく、執金剛神像などはあの時代らしい躍動感があります。
もう一つ、面白かったのは、作風のみではなく誰の発願で仏像をつくったかということ。
快慶も最初の頃は後白河法皇など上流階級の依頼を受けて作っていましたが、しだいに、様々な人々がお金を出し合って依頼した仏像を作っていくようになります。
そうなると、仏像は小さくなり、量産というか数が多くなるんですが、(雑になるというのではなく)仏像の衣の表現などに作風の変化が現れてきます。
たくさん作るうちに「ここはこうした方がいい」とか「仏様の姿をもっと繊細に表現したい」という気持ちになったのかなー(笑)。
そして、発願する人々の変化(というか増加?)は、仏教が上流階級だけのものから庶民へも広がっていった平安末期~鎌倉初期をリアルに感じさせてくれます。
その時代の中に生き、自らも篤い信仰心を持っていた快慶は、人々の心の安らぎのために、あのように静謐な魅力を持つ仏像を作ったのかもしれません。
マティスとルオー
私は飛び石連休のため、GWの間はどこにも行かないだろうな~と思ってたんですが、あべのハルカス美術館の「マティスとルオー」展に行ってきました(笑)。
ついでに言うと、「出かけるとしても、近くの中華料理屋さんでお得なランチを食べるくらいかな…」と思ってたお店の系列店(天王寺mioにあります)でランチもしてきました。もちろんお得なやつ(笑)。

さてさて、「マティスとルオー」は、1910年代から第二次大戦中・戦後と長きにわたって友情を育み続けた二人の画家の軌跡を、書簡とともにたどる展覧会です。
マティスとルオーはざっくり分けると、二人ともフォーヴィズム(野獣派)に括られると思うのですが、その色遣いや作風はまったく違っています。
そのカギを握るのは、二人の師であったモローの指導(二人は生涯にわたって師を敬愛し続け、折に触れてはモローの話をしていたようです)。
それぞれの個性を大切にするようにと教えたモローの言葉どおり、マティスもルオーも独自の世界を表現しようと試行錯誤を重ね、数々の名作を世に生み出し、また次の時代へも影響を与えました。
そして、その奥にあったのが最晩年に至るまでの二人の友情。
戦中の混乱した時代には、マティスが困窮するルオーに油絵の具の油(亜麻仁油)を送ったりもしたそうです。
また、彼らの芸術は彼ら個人だけで成り立っていたのではなく、周囲の人々の支えや交流あってのものだということも書簡によって分かりました(その中には日本人画商の名前もあります)。
あべのハルカス美術館は、一番最初に行った時、展示のしかたがちょっとミーハーかな…と思ったりしたので、少し心配だったのですが、今回は絵画のみの展示ではなく、書簡を効果的に織り交ぜたことで(書簡の展示のしかたも良かった)、芸術家を一人の人間として捉えることができ、とても感動的だったと思います。
「真田丸」特別展
今、大ブームの大河ドラマ「真田丸」を記念して開かれている特別展を見てきました。
この展覧会は、真田のふるさと長野県上田市をはじめ各地を巡回していますが、大阪の会場である歴史博物館は、信繁が真田丸を築いた大阪城のお膝元、しかもNHK大阪放送局と同じ建物内にあって、「ここでやらなきゃどこでやる」という好立地(笑)。
ちなみに、大阪城周辺も今、「真田丸」一色でした。

さて、展示について。
いったいどのくらいの規模で開催されているのか分からないまま行ったんですが、遺物も文書も思ったよりたくさんあり(しかも何度か入れ替えがあるそうです)、本人が書いたと思われる貴重なものも割とありました。
遺物は矢沢三十郎のものがけっこう多かったかな。
当時の真田の軍隊がどのような感じだったか、少し想像できるようなものもあります。
稲の嫁入り道具と思われるお膳のセットは、さすが家康の養女になっただけに豪華です。
でもやっぱり、今回は文献が面白かった。
読めないのもありますが、説明ではちゃんと活字にしてあるので分かりやすいです。
信繁が姉・村松殿(ドラマでは松)に宛てて書いた手紙は泣かせる…。
北政所様の手紙はずいぶん達筆でした。
あと、原本じゃないけど、江戸時代に書かれた直江状の写しもあって、ドラマでの兼続の朗読を思い出して笑いそうになってしまいました。
このように、真田家の物を中心にしながらも、ドラマ全般に関わるものが色々展示されているのも面白かったです。

来年の大河ドラマは井伊家を描いた「おんな城主 直虎」ですが、近畿圏(彦根?)でも特別展やってくれるかな~。来年も見たいな~。