五月花形歌舞伎
もう今日が千秋楽なんですが、8日に松竹座で「五月花形歌舞伎」を昼夜通しで見てきました。
前日にいきなり微熱を出し(楽しみにしすぎたんだろうか?)、体調がいまいちだったのですが、それでも熱中して見られるほど楽しかった!終わるころにはだいぶ調子が良くなってました(笑)。

今月の松竹座は猿之助さん・勘九郎さん・七之助さんが座頭の、若いパワーあふれる熱狂の舞台です。
もちろん寿猿さんはじめベテラン勢も元気いっぱいです(そういえば、寿猿さん、87歳のお誕生日を迎えられましたね)。

まず、昼の部の最初「戻駕色相肩」は、勘九郎さん・歌昇さん・児太郎さんというフレッシュな顔合わせ。
勘九郎さんと児太郎さん、歌昇さんと児太郎さんはよく共演しているイメージがありますが、勘九郎さんと歌昇さんの組み合わせは今までにあまりなかったので新鮮。私は初めて見ました(まあ、親戚同士だし、お父さん同士はよく共演してたんだけどね)。
勘九郎さんが若い歌昇さんをぐいぐい引っ張り、歌昇さんも臆することなく食らいついて、とても良い感じ。
勘九郎さんの浪花の次郎作が遊女の踊りをするところは、ユーモラスさの中になんともいえない艶が感じられ、見ごたえ十分。
またこの二人で組んでほしいですね。
児太郎さんの禿(かむろ)たよりは美しく(お正月に見た時も思ったけど、どんどん美しくなりますね)、上背があるにもかかわらず少女の風情が素敵。
「私が禿ゆえ(相手にされないの?)」と落ち込むところの愛らしさといったら!
最後に次郎作と与四郎の二人が正体を表すところでは、歌昇さん、また久吉だぁ~と思った(笑)。
役の心は「金閣寺」の久吉に通じるところがあるので、二月の経験が役に立ったかもしれません。

つづいては「金幣猿島郡」。すごくおもしろかった!
猿之助さんの清姫と忠文、勘九郎さんの頼光、七之助さんの七綾姫という配役が本当にぴったり!
このお話は、めちゃめちゃざっくりと要約すれば、嫉妬は怖いよ~!ということなんですが(笑)、清姫・忠文ともに嫉妬する姿にセクシーさが感じられます。
片岡秀太郎さんが著書で「死ぬシーンも美しくセクシーに死ななければならない」ということを書いておられたんですが、嫉妬で鬼や蛇になろうともセクシーであるというところにお芝居の面白さ、凄絶美を感じました。
清姫が蛇体になって鐘に巻き付く(帯が三角形の鱗文様なのはこのためなのね)ところは青白くもパワフル。
怒りの表情もセクシー。パワーとセクシーさが噛み合わされば、鬼に金棒(笑)。すごい迫力です。
ああ、それにしても、七綾姫も可愛い顔してけっこうワルイというかヒドイというか…(笑)さすがは将門の妹だけある。そりゃー忠文も恨むわ。
押し戻しの歌昇さんは声がとても聞きやすくなり、若いパワーが役にぴったり。爽快でした。

夜の部の最初は「野崎村」。
今回座った席のせいなのか何なのか分からないんですが、役の心がダイレクトに伝わってきて、とてもおもしろいし、切ない。
七之助さんのお光が本当に可愛くて、切なくて、彼女の真っ正直さと健気な決心に胸が痛くなります。
お染の児太郎さんも、久松への愛のために自害も辞さないような情熱に加えて、都会のお嬢様の儚げな感じも出ていて上手かったです。
二人とも、本当に男性なのかと思うくらい美しかった!
歌昇さんの久松は柔和な感じが役に合っています。
細かい心の動きもよく伝わってきました。
終盤、一心にお光に詫びながら駕籠に揺られていく久松の目に涙が…。
これで一気に久松に感情移入してしまいました。
久松も単に優柔不断でこんなことをしているわけじゃないんだな~。
みんな切なくて、みんな辛い…。
そしてやっぱり、この演目を左右するのは父親の久作です。
彌十郎さんの久作は、周りの人に対する気持ちの深さを感じさせて、思わず涙が出そうに…。
お光は久作の実の娘ではなく、妻の連れ子。
それゆえに、本当の父親と同じ思いもありながら、義理の仲であるために、病身の妻に対して人一倍申し訳なく思う気持ちもあり、どんなに苦しい、悲しい胸のうちだろうかと思ってしまいました。
また、死に急ごうとするお染と久松を二人を説得するところにも深い愛情が感じられます。
成駒屋、澤瀉屋、中村屋、それぞれの一門を代表するようなお弟子さんたちの活躍も嬉しいところ。
とくに芝のぶさんはいつも美しく、声も可愛いです。
駕籠かきの猿四郎さん、実際に駕籠を担いで汗を拭くシーンがあり、セクシーだったわ(笑)。

続いては「怪談乳房榎」。
勘九郎さんの三役早変わりが見どころ。
落語を元にしているので、話もとても分かりやすかったです。
勘九郎さんは、三役の中では実直な正助が一番似合っていた気がするなあ。
でも、うわばみ三次のかっこいいことといったら!立派な人柄ではない小悪党の色気が横溢していました。
滝の場面に至るまでの幕間(?)では、弘太郎さんが舞台番の弘吉として出てきて、前のお客様は水がかかるのでビニールシートをかぶって下さいと楽しく説明しているのですが、突然、勘九郎さんのうわばみ三次が二階席を走り抜け、三階席にも登場!
私は三階席の舞台に一番近いところ(歌舞伎座や南座でいえば、桟敷席の上にあたるところですね)で見ていたので、どちらもバッチリ見ることができました。ホント、いい席が取れたなぁ~!感謝(笑)。
猿之助さんは初めての色悪だという磯貝浪江を演じています。
勘九郎さんが三役早変わりで見せ場が分散されていることもあり、通しで悪の魅力を見せる浪江が陰の主人公のように見えました。
猿之助さん、今月は昼も夜も七之助さんに「思いを遂げさせろ」と迫る役だなあ(笑)。
それにしても、出てきた時から目の色気がすごかった。演技も余裕があって素敵。
七之助さんのお関は、お光とはガラッと違うご新造さんで大人っぽい雰囲気。
美しさゆえに流されて、ついには悪人の女房になってしまう。自覚なく悪い道に染まってしまうのは怖いなと思います。
そして、つくづく美しさというものは罪なのだと感じました(笑)。
このお芝居最大の見せ場は、何といっても本水の滝での立ち回り!
しかも、勘九郎さんはここでも三役の早変わりを見せてくれます。
勘九郎さんも、名前は書かれていないんですが吹き替えの役者さんたちも、水の中で立ち回りながら入れ替わったりするので息が苦しくないのかと思わず心配するほど。
でも、演技が必死だからこそ観客は熱狂できるんですよね。
ラストシーンで「本日はこれぎり」と終わるのも、歌舞伎らしくてよかった。

今回、昼夜通しで見て、澤瀉屋・中村屋のお互いのホームグラウンドといえる演目に、それぞれが出演しあうことによって、相乗効果のみならず、これから彼らの中で新しいものが生み出されて、近いうちにそれを目にすることができるのではないかという期待まで感じさせてくれます。
座頭三人の顔ぶれの豪華さゆえ、大阪ではもう当分こんな顔合わせは見れないんじゃないか…とも思ってしまいますが(世の中やっぱり東京一極集中なんだろうな…と落ち込む)、演じるたびに大きく花開く彼らの活躍をもっと見たいので、ぜひこれからも、松竹座で花形世代の面白いお芝居をたくさん上演してほしいと思いました(関西の歌舞伎ファンというのはまた、どんな実験的な演目にも、どんな若手やお弟子さんたちにも「ええやん、やってみいや。面白かったらそれでええやん」とけしかける(笑)風潮があるように思います(私も含めて))。
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タッセルシリーズ(?)
今月も少し体調を崩してしまって(春は気温が乱高下するので、知らない間に疲れがたまるのかも…)、ブログもしばらくお休みしていたのですが、GWの間にまたもやリフォームアクセサリーを作りました。
まずはイヤリング。
tassel1
ネットで「今年はクリアアクセサリーが流行る」という記事があり、そこで見たイヤリングに使われているものと似たような石が家にあったので(ちなみに、名古屋に遊びに行った時、地下街で派手に飛び散ってしまったネックレスの残りです)、作ってみました。
ネットで見たイヤリングにタッセル(房)が付いていて、それがとても可愛かったので、そこも真似して作ってみました。
見本にしたものは、帯締めの端に付いてるような糸でできた房だったんですが、こういうのはボワッとバクハツしてしまうことが多いので、私はスエード紐を買ってきて作りました。
紐を好みの長さに切って、リングを通して半分に折って、ばらばらにならないように糸で結び、上から紐を巻きつけてボンドで貼るだけ。
ちょっと細かい作業なので、糸を結ぶところなんかはけっこうイラッとしますが(笑)、比較的簡単です。
紐がかなり余ったので、もう一つ。
tassel2
タコ坊主ではなく(笑)ペンダントトップです。
こちらは運動会のポンポンを作る時と同じで、厚紙に巻きつけて真ん中を結び、端を切ります。
これもばらばらにならないように紐で巻きますが、こちらはボンドで貼らずにギュッと結びました。
この前に作った3連チェーンのネックレスのどれか一本に下げて使おうと思います。ペンチは要るけど一応取り外し可能です(笑)。
アクセサリーを作れるようになると、ペンダントトップなんかも自分で取り替えることができるので便利ですね。
マティスとルオー
私は飛び石連休のため、GWの間はどこにも行かないだろうな~と思ってたんですが、あべのハルカス美術館の「マティスとルオー」展に行ってきました(笑)。
ついでに言うと、「出かけるとしても、近くの中華料理屋さんでお得なランチを食べるくらいかな…」と思ってたお店の系列店(天王寺mioにあります)でランチもしてきました。もちろんお得なやつ(笑)。

さてさて、「マティスとルオー」は、1910年代から第二次大戦中・戦後と長きにわたって友情を育み続けた二人の画家の軌跡を、書簡とともにたどる展覧会です。
マティスとルオーはざっくり分けると、二人ともフォーヴィズム(野獣派)に括られると思うのですが、その色遣いや作風はまったく違っています。
そのカギを握るのは、二人の師であったモローの指導(二人は生涯にわたって師を敬愛し続け、折に触れてはモローの話をしていたようです)。
それぞれの個性を大切にするようにと教えたモローの言葉どおり、マティスもルオーも独自の世界を表現しようと試行錯誤を重ね、数々の名作を世に生み出し、また次の時代へも影響を与えました。
そして、その奥にあったのが最晩年に至るまでの二人の友情。
戦中の混乱した時代には、マティスが困窮するルオーに油絵の具の油(亜麻仁油)を送ったりもしたそうです。
また、彼らの芸術は彼ら個人だけで成り立っていたのではなく、周囲の人々の支えや交流あってのものだということも書簡によって分かりました(その中には日本人画商の名前もあります)。
あべのハルカス美術館は、一番最初に行った時、展示のしかたがちょっとミーハーかな…と思ったりしたので、少し心配だったのですが、今回は絵画のみの展示ではなく、書簡を効果的に織り交ぜたことで(書簡の展示のしかたも良かった)、芸術家を一人の人間として捉えることができ、とても感動的だったと思います。