蝉しぐれ
蝉しぐれ

月曜日に、松竹座で「蝉しぐれ」を見てきました。
テレビや映画でご存知の方もおられると思いますが、同名の藤沢周平先生のベストセラー小説を元に、片岡愛之助さん主演で舞台化されました。
実は、「蝉しぐれ」の舞台化は今回で2度目。最初に舞台化したのは宝塚で、挿入歌として使われた宝塚の往年の名曲「望郷の琵琶唄」の歌詞をとって「若き日の唄は忘れじ」というタイトルで上演されています(実はこのタイトルもとっても意味のあるものなんですよ)。
私が初めて宝塚を見たのがこの作品という縁で、「蝉しぐれ」には思い入れがあります。

さて、松竹座「蝉しぐれ」ですが、この話は歳をとればとるほど心にしみますね。主人公・文四郎とヒロイン・ふく(相田翔子さん)の「失われた青春」への思いがひしひしと伝わってきます。
たとえそれが「珍しくもない縁(えにし)」であっても、二人にとっては「かけがえのない縁」…。「珍しくもない縁」のまま、ただ相擁して泣くことしかできなくても、それが自分にとって何よりも大切なものであるということ。
「若き日…」を見たとき、(一応)年端もいかない少女だった私も、数々の「青春」を失い、「光の時代」を失ったからこそ、それがわかるようになってきたんだなぁ…と思いました(そういえば、文四郎ほど過酷な運命でなくても、私たちの世代は「ロストジェネレーション」なんですよね)。
次、何らかの形で「蝉しぐれ」に出会うとき、私はどんな気持ちになるんでしょうね。それも楽しみです。

この話は主人公の文四郎が、15歳の時から始まります。愛之助さんは、最初「こ、声が老けてる…」と思いましたが、なぜか、だんだん15歳らしくなってくるんですよね。夏祭りに出かけて、ふくに「おまえがくっつくから勘違いされたじゃないか」と言うのがすっごい可愛い!愛ニイニイです(笑)(義理の従兄弟の子供に当たる片岡千之助ちゃんがこう呼んでるらしいです)。
相田翔子さんのふくも、14歳から始まるんですが、無口で愛想のない感じが、周りに対して何をしゃべったらいいのか分からない、どう対応したらいいか分からない14歳の雰囲気をよく出していて、「そうだよね、こういう時期ってあるよね」と思わせてくれました。
更に、かつて学園もののヒーローだった松村雄基さんの「15歳(逸平は16歳だったかな?)」の造形がほんとにすごい。さすがは25歳まで学ラン着て高校生役やってただけあります(笑)。
で、二十歳くらいの設定の時に、みんな急に渋くなるのが面白い。思わず欅御殿の前へ行ってしまう文四郎なんて、あんたは百戦錬磨の剣客か!ってくらい(謎)。
でも、相変わらず泣き虫で可愛いのは与之助(野田晋市さん)。「若き日…」で、後にトップスターになった稔幸(みのるこう)さんがやってた与之助があまりにもコミカルで可愛くて、ファンの間で「よっぴー」というあだ名がついてたんですが、野田さんの与之助も立派に「よっぴー」でした(笑)。
脇を固めるのは、母親役の星由里子さんはじめ、皆そうそうたるベテラン勢。とくに悪徳家老・里村を演じた近藤洋介さんの存在感がすごくて、ずっと感心してました。ちなみに、この方、テレビの時代劇で悪役としてよくお見かけします。
そしてもう一人、藩主の叔父上・加治織部正を演じた長谷川哲夫さんの、豪胆な中に気品あるふるまいも印象に残りました。宝塚でこの役を演じた一樹千尋さんの名演がまだ頭に残っていることもあって、この役が大好きなので、まさにイメージどおりの加治様で嬉しかったです。

あー、それにしても、文四郎の養父・助左衛門(高橋長英さん)が切腹する前後の話は泣いたな~。あんなに号泣するとは思わなかった…。
お父さんが切腹させられて、その遺体を荷車で運んでいく途中、みんなから「罪人の子」と馬鹿にされている文四郎をふくが手伝うシーンがあって、ほんとにかわいそうで切なくて、でも、ふくの思い切った行動に励まされて…と感動したんですが、ここで一幕終了。こんな哀しい場面の後で昼ごはん食べられなーい…結局食べたけど(笑)。
そうそう、この場面で「松嶋屋!」って叫んだん誰や~!愛之助さん出てるけど、今日は歌舞伎じゃないんだし、感動してるときくらいそっとしといてくれぇ…。
不満といえば、暗転かな。暗転時間が長いとか、立ち回りと、舟で逃げるシーンの間に暗転入れると場面がダレちゃうとか…。まあ、舟が花道を進んできたのに度肝を抜かれてすぐ忘れましたが(笑)。

ともあれ、やっぱり「蝉しぐれ」は良いです!
青春を失った世代の方、あるいは青春まっただなかの方、すべての人に、小説・舞台・映画・ドラマどんな形でも良いから「蝉しぐれ」を知っていただきたいなと思いました。
とくに、青春まっただなかの方、今は「なんだか地味な話」かもしれないけど、大人になったら、文四郎やふく、そして助左衛門の思いが強く心に響くことがあるかと思うので、若いうちから知っておいて損はないですよ。
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