十月大歌舞伎
土曜日に南座で「十月大歌舞伎」を見てきました。
気合入れて早く京都に着き、高島屋でお弁当&お菓子も買って意気揚々と出かけたんですが、客席に着くまでにすでに疲労困憊
南座は階段しかなくて、しかも古い建物を改装してあるので、悪い脚で3階まできつい階段をよじ登らなければならないし、しかも取った席が一番出入りしにくい席で(実は買うときに席が選べるんだけど、出入りしやすいかなと思ってセンターブロックの一番端にしたら衝立等で仕切られた奥だった…私のリサーチ不足です…)、座るためにそのブロックの方にいったん移動してもらわなければならず、かなり申し訳なくて…。
もっといい席にすれば無問題なんだろうけど、そうなると、それこそ清水の舞台から飛び降りる覚悟をしないといけません。
次はもっと早く…一番乗りの決意で行きます(笑)。席も出入りしやすいとこで。

大変疲労したにもかかわらず、始まる頃にはすっかり忘れてワクワクどきどき。
最初の演目は「矢の根」。
橋之助さんの曾我五郎です。
昔はお正月に曾我兄弟ものをやると縁起がいいと言われていたので、この「矢の根」も、初夢の話や七福神を取り入れたセリフなど、お正月仕様のめでたいもの尽くし。
橋之助さんは先週、最愛の父・芝翫さんを亡くされたばかり。色々忙しくて疲労もたまっておられるでしょうし、もちろん深い悲しみがあると思いますが、テレビのインタビューで「このような大役をいただいて(たとえ死に目に会えなくても)父も喜んでいるでしょう」と答えておられたように、疲れを微塵も感じさせずに豪快で時にユーモラスな五郎を明るく演じ、客席もとても盛り上がってました。

二番目は「墨染念仏聖(すみぞめのねんぶつひじり)-法然上人譚(ほうねんしょうにんものがたり)-」。
今年は浄土宗の開祖・法然上人の800年大遠忌。そして、その法然上人を「たたえる会」会長の藤十郎さんが法然を演じる、まさに今が旬の新作歌舞伎です。
ギリシャ演劇以来、演劇に効果的に使われる「コロス」(「コーラス」の語源)をお弟子さんたちが僧の姿で演じ、舞台構造もシンプル且つダイナミックな現代風。
そして、なによりもいいところは、予備知識がなくても楽しめるところ。
法然に帰依した人々には、平敦盛と対決した源氏の武者・熊谷直実や、「玉の緒よ絶えなば絶えね長らへば忍ぶることの弱りもぞする」という歌で有名な式子内親王などがいますが、歌舞伎の演目は知らなくても、平家物語や百人一首なら知っているという人も多いので、彼ら彼女らのエピソードには親近感を持てるし、そのエピソードを通して、清らかで優しく温かい法然の心に触れることができます。
藤十郎さんの超越したオーラ、直実役の橋之助さんの「矢の根」とはうってかわっての渋さ、式子内親王役・壱太郎さんの美しさ(前よりも面差しが大人になってきましたね)に魅了されました。
欲を言えば、式子という役には「抑えても抑えきれぬ恋に悩む大人の女性」という雰囲気があるので、また何年かして壱太郎さんがもっと大人になってからもう一度見てみたいですね。
法然の高弟で彼の思い出を語る源智上人・翫雀さんの抑えた語り口も印象的。お殿様役の似合う方ですが、こういう役も上手いですね。

おしまいは、お馴染みの「連獅子」。
今回は翫雀さん・壱太郎さん親子でした。
獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす…といいますが、その様子を厳しい芸の世界に生きる実の親子が見せるというのは、感動と共に一種の凄みを感じさせます。
それでも、親獅子が谷底からなかなか登ってこない子供を心配するところや、そんな親の姿が水面に映ったのを見て「頑張るぞ!」とばかりに子獅子が飛び跳ねるところは微笑ましかったです。
親獅子・翫雀さん、最初に狂言師で出てきたとき「藤十郎さんに似てきたな~」と思いました。
舞踊の上手さはさすがで、ちょっとした動きでも目が離せないほどでした。
子獅子の壱太郎さんは、たおやかで美しい式子内親王から一転してキリッとしたかっこよさ(ちなみに、素顔もフィギュアスケートの小塚選手似のイケメンです)。獅子の毛振りには若いパワーがあふれています。
間狂言の「宗論」は、以前に見て内容が分かっていても思わず笑ってしまいます。
好きな役者さんの一人である亀鶴さん、左団次さんのご子息・男女蔵さん(初めて見ましたが、快活な雰囲気で素敵な方ですね。そして、顔がお父様そっくり!)、お二人とも芸達者な方で楽しかったです。

先月、今月と歌舞伎を見ましたが、見れば見るほど歌舞伎って楽しいですね。
12月の顔見世も行きたいんですが、行けるかな~。
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