「ボニー&クライド」
土曜日に新歌舞伎座で「ボニー&クライド」を見てきました。
映画「俺たちに明日はない」で知られる、実在のギャングカップルを描くブロードウェイミュージカルです。
不景気で、暗く重い世相の中で、どこにも行き場所がないけれども、とにかく前に進むことだけを目的に犯罪を重ねる二人の八方破れのエネルギー、そして、そうするしかなかった生き方が、ずしーんとした塊のように胸に残る作品です。
全編に音楽がちりばめられたミュージカルではありますが、テーマとしてはストレートプレイ的な感じかな。

クライドの田代万里生くんは今までおぼっちゃん的イメージがありましたが、保安官から「クソガキ」と言われるような、若く浅はかで、だからこそ、とても苦しくてもがいている感じがよく出ていて、意外な一面を見た気がしました。
ボニーの濱田めぐみさんは、歌の上手さはもちろんながら、「まだ若い、二十歳前後の娘」をしっかり表現していて感心しました。役者は何歳にでもなれるんだなぁ~と改めて思いました。
クライドの兄バックの岡田浩暉さんは男性の子どもじみた感じや、犯罪のスリルがないと生きられない、そしてクライドとともに生きることでしか生きる実感を得られない、浅はかだけど哀しいところがよく出ていました。
バックの妻ブランチの白羽ゆりさん、宝塚では初舞台から知っている人ですが、「トナミちゃん(白羽さんの愛称)、大人になったなー!」と感心。唯一の常識人だけど、バックの甘えについ負けてしまうところはごく普通の女の人だなーと感じました。
つのだ☆ひろさんの牧師役はさすがに圧倒的な歌唱力と雰囲気。作品の裏メッセージ的な部分、「キリスト教徒としてのアメリカ人の心」みたいなものを上手く表現していたと思います。
シュミット保安官を演じたベテラン・木場勝己さんの、説得力ある味わい深い演技(とくに、撃ち合いの最中、抽象的な空間でクライドと話すところが圧巻!)、ボニーの母エンマの池田有希子さんの真に迫った愛情の表現も深く心に残りました。
ボニーの幼なじみで保安官助手のテッドを演じた中河内雅貴さんはセリフ回しや歌が若々しく、等身大の魅力を感じさせます。

実は、ボニーとクライドの話は14年前と4年前に宝塚のバウホール公演で「凍てついた明日」というタイトルで上演された作品を見ているのですが、話の流れはほぼ同じ(実在していた人物なので、当たり前といえば当たり前ですが(笑))でも、今回のほうがより乾いた感じを受けました。
アメリカで作られたものと日本で作られたものの違い、主人公二人の気持ちのどのあたりにテーマを持ってくるかの違いが感じられて面白かったです。

音楽はフランク・ワイルドホーンさんの作曲。
私はワイルドホーンさんの作品は「ジキル&ハイド」「NEVER SAY GOODBYE」「スカーレット・ピンパーネル」を見ていて、メロディアスなピアノ曲なども、ああ彼らしいなと思いますが、自分の個性や主張をことさらに出す方式ではなく、その作品の世界観や時代にぴったりと寄り添った「オーダーメイド」的な曲もとても印象的で、そこに却って彼の作品の魅力を感じます。
これからも数多くの曲を作っていかれると思いますが、次はどんな感じになるのかワクワクします。
スポンサーサイト