陽だまりの樹
書くのが遅くなりましたが、13日に新歌舞伎座で「陽だまりの樹」を見てきました。
手塚治虫さんが自身の先祖をモデルに描いたお話ということで、以前から興味があったものの読む機会がなく、いつかその世界に触れてみたいと思っていたところ、今回、舞台化されたので喜んで見てきました。
ちなみに、テレビのほうは不覚にも始まっていたことに気づかなかったので結局見ませんでした。再放送があったら見るかも。

時は幕末、若き蘭方医・手塚良庵(上川隆也さん)と、徳川に忠義を尽くす武士・伊武谷万次郎(吉川晃司さん)の友情を、奥医師の世界を取り仕切る漢方医と冷遇される蘭方医の対立、揺らぐ江戸幕府の状況、秘めた恋などを絡めて描く、切なくもおかしい、明るくも哀しい青春物語でした。

良庵は芸者遊びが大好きなお調子者。上川さんといえば、今放送されている「平清盛」に出てくる盛国のような真面目なイメージがあったので、ここまで明るい役は意外でしたが、医学に誇りを持ち、患者を助けるためならば漢方も蘭方も関係ないという真摯な気持ちもある役で、忠義のために死に急ぐ万次郎を思う熱さと共に、その切なさが印象に残りました。
吉川さんの万次郎がものすごいはまり役でどうしようかと思った(どうもしないけど(笑))。元々持っている古武士のようなたたずまいが、不器用にしか人生をまっとうできない万次郎の姿とすごくかぶります。
また、初めてのストレートプレイとは思えないほどの舞台度胸で、やはりライブをやっているミュージシャンは違うと実感しました。
立ち回りもすごくカッコいい!よくあんなにサッと剣が抜けるものだと感心しました。

脇を固める面々も、石倉三郎さんを初め、個性的な役者が揃いました。
ヒロイン的な役どころ・おせきを演じた高野志穂さんはNHKの朝ドラ「さくら」の主人公だったので、出てきた瞬間「あ、『さくら』だ!」と思ってしまいました(笑)。
演技的には抜群に上手いというわけではないものの、万次郎を思うひたむきな強さと、それが故に尼寺に入ってしまう哀しみはよく出ていたと思います。
良庵たちを見守る芸者の一人・浮舟は、懐かしい花影アリスちゃん。やっぱり芸者が似合うなぁ~。美しく舞えてなおかつ演技が粋でうまく、さすがは元タカラジェンヌです。
ほかに、岡本健一さん演じる下級武士の悲哀や、明るくさばけた勝海舟役の瀬下尚人さん、伊豆や江戸で外国人を警護するおかしなコンビ・猿田(鈴木健介さん)と雉井(湯田昌次さん)、豪商の若旦那をねちっこく、嫌味に演じた長谷川純さん(最近のジャニーズの若手は憎まれ役も上手いんですねー)らが印象に残りました。
そして、良庵の父・良仙を演じた石倉さん。上川さんが笑いそうになってしまうくらい(いや、笑ってた(笑))アドリブ満載かと思えば、患者のためにひたすら邁進するよき医者としての面も大いに出し、この「おとっつあん」あってこその良庵なのだと感じました。

カーテンコールも、良庵と万次郎そのままのような上川さん・吉川さんの雰囲気が面白く(上川さんから急に「それでは万次郎くんから」と言われて、吉川さんが「まいったなー」と言う感じで戸惑ってました)、素の上川さんも実は意外と面白い人なのだなと思いました。
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