梁山泊に集いし仲間たち ―新・水滸伝―
昨日、新歌舞伎座で二十一世紀歌舞伎組による「新・水滸伝」を見てきました。
一言で言えば、超~楽しかった!
少年漫画のように分かりやすいストーリー、宙乗りや客席降りもある(2階席・3階席にも登場します)華やかな演出、今年2月の松竹座「GOEMON」のような簡素なセット(「GOEMON」もとても斬新な演出でしたね~)を用いたスピーディーな展開…夏らしく活気にあふれ、子どもから大人まで楽しめる舞台でした。
私、この作品はスーパー歌舞伎だと思っていたんですが、スーパー歌舞伎でも古典歌舞伎でもない、オリジナルの新作歌舞伎だそうです。当代の猿翁さんがプロデュースして作ったので、しいて言えば「猿翁歌舞伎」かな。

開演前に、日替わりで出演者からのご挨拶があります。
私が見た回は美貌の女形・春猿さん。
女形の格好で、声は普通の男性(笑)。分かっててもびっくりしてしまいました。
そして、あの美しい姿からは想像できないくらい面白い方でした。
この「新・水滸伝」は客席参加型、どうぞ盛大な拍手や掛け声でご自由に盛り上げてください、ということで、実際に幕が開くと、いつもの歌舞伎にも増して盛大な拍手。そして、いつもよりも自由にかけられる掛け声(私も「おもだかや!!」と声をかけたかった…けど、勇気がなかったの)で、客席も盛り上がりました。

中国・北宋の時代、悪政がはびこる世の中を変えんと、湖に浮かぶ孤島・梁山泊に集う人々…世間からはみ出した者、圧制から逃れて来た者、その数、なんと数百人(最初の人数は不明ですが、話の途中で200人くらい一度に増えました。原作では108人なので、はるかに多いですね)。男も女も、老人も子どももいる大所帯です。
そんなはみ出し者たちが、朝廷の悪人に立ち向かい、元は兵学校の教師で思想犯とされた林沖(右近さん)を中心に、「替天行道(天に替わって道を行う)」の旗印を掲げるまでを描いています。
武骨で不器量で純情な男・王英(猿弥さん)と、国政に疑問を抱き、やがて梁山泊に暮らすようになる令嬢・青華(笑也さん)(考え方も行動もオスカルのような女戦士です)の可愛らしい恋、二人を温かく見守る女戦士・お夜叉(春猿さん)ら梁山泊の者たちの友情、皆を束ねる勇敢で頼もしいリーダー・晁蓋(笠原章さん)、熱い義兄弟の絆を大切に生きる姫虎(笑三郎さん)ら、かっこよくてユニークな戦士たちの大活躍、林沖の教え子・彭玘(弘太郎さん)の師弟愛と正義感ゆえの死など、エピソードも盛りだくさん。
もちろん、悪役チームも高官・高俅(欣弥さん)を筆頭に、負けじと待ち構えます。
先月の巡業の休みを返上して練習したという立ち回り(宋江役の猿三郎さんのブログに載っています)や、アンサンブルで兵士を演じる皆さんのアクロバティックな動きは迫力満点。
梁山泊のメンバーは赤、朝廷軍は紫、湖のほとりの街・独龍岡の兵士は青というふうにチームごとに色分けがしてあるのも見やすくていいですね。
さらに、花道や客席の通路を使った演出では、2階・3階席でもよく見えるようにと大きな鏡が設置されて、とても配慮の行き届いている舞台だなと思いました(ちなみに、この鏡は、一階席にいる人たちにとっては宙乗りを見るのに便利なようです)。
こういう華やかなお話には、歌舞伎特有の見得がとても映えますね。
最新の舞台技術と、見得やツケ打ちといった歌舞伎の手法が最高に盛り上がる形で融合されていて、改めて猿翁さんの演出力に驚かされます。
願わくば、この「新・水滸伝」も「ヤマトタケル」のように何度も上演され、語り継がれる作品になってほしいと思います。
これまでの2度の上演(東京・名古屋)、そして今回の上演でも、さらに改良されグレードアップされているそうなので、次に見る時には、また人が増えていたり、新たな演出があったりするかも…。でも、それも大歓迎です!
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