十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」
三ヶ月ぶりに、松竹座に歌舞伎が帰ってきました!
私が見たのは夜の部の演目、通し狂言「夏祭浪花鑑」。
勘三郎さんがニューヨークでされた公演をテレビで見てから、ずっと生で見たいなと思っていたんですが、念願がかないました。
しかも、上方の話を上方歌舞伎の演出で(二世実川延若・十三世片岡仁左衛門から教えを受けた我當さんが甥の愛之助さんに指導)という決定版。
若手中心ゆえに「もう少し突っ込んで演じてもいいかも」と思うところは少しありますが、それはまた、これから先のお楽しみでしょうか。
でも、それを差し引いても迫力満点!義理人情と侠気、そして狂気が絡み合うボリュームある舞台でした。

主人公・団七は愛之助さん。
喧嘩っ早いけど侠気にあふれた大坂の若者はハマリ役です。
舅・義平次に殴られて眉間を割られ、それまで耐えていたのがぷつんと切れる、その瞬間の表情に狂気がありました。
女房のお梶は壱太郎さん。
今までの「ただただ美しい」というところから脱却し、演技に味わいが出てきて、22歳とは思えない落ち着いた芝居に感心しました。やっぱりこの人、末恐ろしい。
一寸徳兵衛の亀鶴さん、めっちゃカッコいい~!徳兵衛じたい、もともと美味しい役ではありますが、その美味しい見せ場をスッキリと男ぶり良く、なおかつ情をにじませて「魅せて」くれました。
今までも亀鶴さん好きだったけど、ますます好きになったな~。
釣船三婦の翫雀さんも良かった!私、翫雀さんの老け役は初めて見ました。本来の50代の快活さはあるものの、老侠客の凄まじい迫力と人間の器の大きさが感じられました。
その女房おつぎの扇乃丞さんも、いつもの楚々とした風情のほかに、侠客の妻らしい肝の据わったところも見せて好演です。
薪車さんは玉島磯之丞。いや~、お芝居がめちゃめちゃ上手くなったな~!つっころばしのオドオドと情けない雰囲気と、それでもどこか憎めない可愛さがよかったです。
徳兵衛の女房・お辰の吉弥さん、出てくるのは短いながらも強烈な場面ですが、男勝りの気性と風情ある美しさが印象的でした。
美しいといえば、傾城琴浦の尾上右近さん。以前は可愛い感じだったんですが、今回見て本当に美しいなと思いました。可憐なセリフ回しも素敵。
新悟さんは道具屋の娘・お仲。磯之丞に言い寄る積極性が微笑ましく、清楚な容姿も良かったです。
その道具屋の番頭・伝八に猿弥さん。半道敵というのでしょうか、悪の一味に加担しているのですが、滑稽なおかしみがあります。一言セリフを発するだけでも客席が沸くようなうまさで秀逸でした!
それにしても、猿弥さん、今年は関西での舞台が多いなあ。ご本人は大変かもしれませんが、大好きなので嬉しいです。
同じおもだか屋一門の猿三郎さん、ブログで毎日色々楽しく語っておられますが、さすが大阪出身、出てきただけでほわっとした上方の空気をかもし出していて、得難い存在だなと思いました。
そして、忘れてはならないのは義平次の嵐橘三郎さん。いかにも憎憎しげなこの役を、体当たりでありながらも、ベテランらしい達者さで演じていて迫力がありました。
ほか、澤村國矢さんがかっこよかったし、吉太朗さんも丁稚の役で見れて嬉しかったです。
萬太郎さんは江戸の役者ながら、持ち前の生真面目さで一生懸命上方の風情を出そうとしていて好感が持てました。

夜の部を見ていたら、見る予定がなかった昼の部も見たくて仕方がなくなりました。
ああ、見たい、めっちゃ見たい…どうしようかなー。
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