お江戸で芝居三昧② 帝劇編
歌舞伎座の翌日は、帝国劇場へ。
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観たのはこちら、ミュージカル「エリザベート」です!
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宝塚版はついこの間見たけど、東宝版はかな~り前、梅芸で一度観たきり(調べてみたら、梅芸で見たのはなんと14年前でした!もうそんなに経っていたのか…)。
さあ、今回はどんな感じなのでしょうか?

帝劇は、建物の前は通ったことがあるけど、中へ入るのは初めてです。
憧れの劇場だっただけに、「ほぉ~、これが帝劇か~!『今日は三越、明日は帝劇』の帝劇か~!」とあちこち見まわしてしまいました(笑)。
入るといきなり物販コーナーで、お菓子やジュースが売られていたりして、けっこう庶民的なのね(笑)。
2階の喫茶室はなかなか重厚な感じに見えたので、また今度行けた時にはここで食事もしたいなと思いました。
こういったステンドグラスがあるのも素敵。
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作られた当初の雰囲気がデザインにも残ってますね。

そして、念願の「エリザベート」。
これまで何回か上演されていて、東宝版でも宝塚版でも色々バージョンアップされているのですが、14年前に観たバージョンとは印象がかなり違いました。
もちろん、キャストも衣装もセットも振付も違うわけですが、一番変わったなと思ったのは、エリザベートとトートがダブル主演と言っていいくらい、比重がほぼ同等になっていること。
宝塚版「エリザ」には「愛と死の輪舞(ロンド)」という副題がついていますが、今回の東宝版は、言うなれば「生と死の輪舞」。
14年前に感じた「ヒロインのエリザベートと、彼女に絡む『死』」というのではなく、どちらも圧倒的な存在感を放つ「生」と「死」のぶつかり合い。
トートがぐいぐい迫れば、エリザベートが激しいパワーで追い返す、両者が火花を散らしながらも根底で惹かれ合う、非常におもしろい展開だったと思います。
次に、トートダンサーの使い方。  
14年前に観た時のトートダンサーの振付は、アクロバチックで目を驚かせるものだったのですが、今回は話の流れに沿って、彼らはトートの心であり、あの時代の情勢であり(トートは「死」なので、オーストリア帝国や王権制度の「滅亡」そのものでもあります)、不穏な空気であるということを見せた振付になっていたのではないかと思います。
ダンサーたちの踊りもまとまりが良く、トートの情念を表すかのように、固まって揺らめきながら踊るシーンが印象的でした。

この公演は主な配役がダブル(子役はトリプル)キャストになっているのですが、今回のキャストはこちら。
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タイトルロールでもあり、宝塚時代から16年ぶりにエリザベートを演じるお花ちゃんこと花總まりさん。
宝塚を卒業してから事務方をしていた時期などもあり、生で見るのはなんと約10年ぶり!
娘役を脱皮して、一人の女、一人の人間を表現する力強さ(声量も増したと思います)と、ドレスが似合うような元娘役の優美さが合わさって、宝塚で見た時とは一味違う新しいエリザベートになっていたと思います。
5年前に見逃してしまい、今回期待していた城田優くんのトート。
なんて美しい「死」なのでしょう!そして、なんて妖しくセクシーなのでしょう!
「耽美的」という言葉がこれほど似合うトートもなかなかいないと思います。
この人があの可愛いロミオだったとはとても思えない(笑)。
甘い歌声と、それとは裏腹な迫力のある動きで魅了してくれました。
今回のバージョンの配役が発表になった時、かなりのサプライズだった田代万里生くんのフランツ・ヨーゼフ。
まさかこの若さでフランツを演じることになるとは、誰も想像できなかったのではないでしょうか?(でも、この若さで演じるということは、やはり実力が認められているのだなと思います。)
最初に柩から出てくるシーンは、若いので、ルドルフが出てきたのかと思っちゃったんですが(笑)、単に「この人は品のある役が似合うんだろうなー」くらいの感覚で見ていたら、エライ目に遭います(笑)。
とにかく全身全霊で役に挑んでいる!
生真面目な皇帝の心の奥にある、熱く哀しい思いがあふれていて、「よくやった!」と言いたくなる熱演でした。
そして、こちらもサプライズ配役だった松也くんルキーニ。
歌舞伎で鍛えたよく通る台詞の声、凛々と響く歌声で話をぐいぐい引っ張っていきます。
女形姿の美しさからは想像もつかない、いかにもアナーキストらしい奔放な様子ですが、なぜか目が惹きつけられます。
とくに、エリザベートのエゴイストな一面(たしかに、「ルドルフの教育を任せてほしい」と言いながら、そのルドルフをほっぽって旅に出てるのはエゴだよね…)を語り、「おとぎ話じゃないんだ!」と叫びつつ笑う姿が印象的でした。
宝塚時代は見ていなくて、なんとお初にお目にかかる剣幸さん、美しく威厳あるゾフィーでした。
とくに、幼いルドルフに「皇帝には親も子も妻もないのです」と言い聞かせる姿が印象的。
この一言で、王家に生まれた者として、一国を預かる皇太后として、並々ならぬ覚悟で生きてきたゾフィーの気持ちがよく伝わってきました。
ウタコさんは、さすがに5年もの間トップスターとして活躍しただけあって、また退団後も女優として様々なジャンルの舞台を経験してきただけに、実力も申し分なく、その魅力を堪能しました。
古川雄大くんルドルフは、繊細な風貌と悲しみに満ちた目で、儚げなルドルフを好演(その儚げなルドルフに爬虫類のように迫るトートが怖かった(笑))。
声もわりと良く通るし、声質もなかなか好きかも。
大内天くんの少年ルドルフ、ちっちゃいな~!と思ったけど(でも、もう6年生らしい)、歌も演技も本格派で驚きました。
今は小動物のように愛らしいのですが、これからどんな青年になっていくのでしょう。
そして、未来優希さん&秋園美緒さんという、豊かな歌唱力を誇る宝塚79期の二人。
ハマコさん(未来)、マダム・ヴォルフめっちゃはまってたわ~!元男役の押し出しの良さがここで発揮され、セクシー路線ながら意外に当たり役です。
もう一つの役のルドヴィカは社交好き、にぎやか好きのご婦人といった趣でした。
そしてやっぱり歌が上手い!「マダム・ヴォルフのコレクション」もう一回聞きたいくらい(歌詞がヤバすぎだけど(笑))。
そんちゃん(秋園)、宝塚にいた頃から大人っぽい役がよく似合っていたのですが、リヒテンシュタイン夫人にふさわしい、しっかり者で気品のある雰囲気を身につけましたね。ちゃんと女官長という感じがしました。
エリザベートのお父さん・マックス公爵役の大谷美智浩さんは、幻想として現れるところでの「アデュー、シシィ」の台詞がよかったな。自由で、優しくて、温かくて、マックスそのものって感じ。
ほか、「ウィーンのカフェ」に振付がついたのが印象的。
男ばっかりのカフェですが(19世紀のカフェは実際そんなもんだったようです)、歌声もそろっていて、なかなかおもしろい場面になったと思います。

私は最初に宝塚版の初演を見て、その数年後に東宝版の最初のバージョンを見たのですが、その時に、脚色・演出の小池先生が「宝塚版との違いを出さねば」と試行錯誤しているように見えて、「最初に脚色したものにもっと自信を持っていいのに」と思ったんですが、宝塚版、東宝版と上演を重ねることによって「この線で行く」というのがだんだんと見えてきているのではないかと思いました。
それは単に宝塚版と東宝版の差違が縮まったというのではなく、「『エリザベート』という作品を、日本ではこう見せたい」というのがしっかりと固まってきて、今回それが明確に表されていたような気がしました。
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