涙も、笑いも、興奮も、感動も、再び -「新・水滸伝」-
お久しぶりです。
暑さのためにブログはすっかりご無沙汰してましたが、先日、新歌舞伎座で、夏バテにも効く(?)元気が出るお芝居「新・水滸伝」を見てきました!
私は2年前の上演の際も観劇していて(感想はこちら)、ストーリーも分かっているはずなのに、見ていて自然と涙が出たり、爆笑したり、新鮮な気持ちで見ることができました。
また、今回は梁山泊に集う仲間たちの「自分たちは決して善ではない、けれども偽善は行わない!」という思いを前回以上に強く感じました。
腐敗と不正に満ちた時流に逆らい、弱きを助け強きを挫く彼ら彼女らの心意気は、まさしく「義賊」と呼ぶにぴったり。

2年前に観劇した時、普通の歌舞伎でも新歌舞伎でもスーパー歌舞伎でもないこの新しい歌舞伎を「猿翁歌舞伎」と呼ぼうと勝手に思ったのですが(笑)、現代語の台詞と共に、「通常の歌舞伎と違う」「新しい!」と感じたのは、立ち回り。
踊りを踊るような通常の立ち回り(これも広い意味でのダンスミュージカル的で好きではありますが)と比べると倍以上の速いスピードで、「アクション」といった感じ。
さすがは猿四郎さん、澤瀉屋の殺陣師です(演出の猿翁さんから「もっと速く!」という指示があったのかな?とついつい思っちゃいます(笑))。

常に進化し続ける澤瀉屋一門ですが(秋にはあの「ONE PIECE」が待っています)、なかでも、若い人たちの成長ぶりは目覚ましいですね。
たとえば、喜昇さん。
どこか関西のオバチャンを彷彿とさせるようなおかみさん・文杏を演じていますが、前回よりも役の輪郭がハッキリして、生き生きしていたと思います。
それ以外にも、「水滸伝」初出演の猿珠さんをはじめ若き面々が大暴れしています。
皆それぞれに大役を与えられて、普段は見られないような演技が見られるのも魅力です。
もちろん、それに負けないくらい、中堅・ベテラン勢もパワフルです。
御年85歳の寿猿さんが走っている!元気やなぁ!
皆さん寿猿さんより年下なわけですから、そりゃもう、頑張りますよね(笑)。
そして、最年少の子役・新々を演じた日下部大智くん。
歌舞伎の舞台でときどき見かけますが、今回はもう、ホント、この小さな名優に泣かされました~!

梁山泊の面々は、それぞれに個性がある役で、衣装のデザインや化粧、行動もさまざま。
「この人はどういう性格なのか」「どういうことが得意なのか」など、一目瞭然なところが楽しいです(これは古典歌舞伎から続く、歌舞伎ならではの良さですね~)。
特に面白かったのは、全員が戦場に走っていく振付のところで、普通のメンバーは踊りのようにステップを踏んでいくのですが、その横を「韋駄天」の異名をとる戴宗(猿若さん)がダーッと駆け抜けていったところ。こういう演出で足の速さを見せるのが楽しいですね。(あ、そういえば、戴宗の髪形が2年前と違ってました。前回は後ろ髪がドレッド風だったんですが、今回は頭全体がドレッド風!それをポニーテールにしてます。)
こんなに個性豊かなメンバーなので、きっと「ONE PIECE」も脚本に描かれている以上に盛りだくさんな物になるでしょうね。
そして、今回も猿翁さんならではの素敵な演出がいっぱい。
前回に引き続き、鏡を使って客席での立ち回りや宙乗りを見せるところは、どの席にいても趣向を楽しめてGOODです!(この演出が一番好き)

開演前には、「新・水滸伝」の恒例として客席と舞台をより盛り上げるための前説があります。
私が見た回のメンバーは喜猿さんと裕喜さん。
喜猿さんは舞台での軽やかな身のこなしが印象的ですが、お話も上手ですね!
喜猿さんの前説のおかげで、客席もしっかりと盛り上がって、至るところで拍手が沸き起こりました。
劇中でも、あっという間に牢の鍵を開けたり(猿弥さんに「おー、早えーな」と言われてました(笑))大活躍でしたね。
また、途中でせり上がってくる裕喜さんがかっこよかったー!
演じている楊志は前回見て大好きになった役で、今回も見つけると嬉しくなりました。

この日は1回公演の日で、アフタートークショーも開催されました(ちなみに、公演が始まって一番最初のアフタートークショーです)。
出演は右近さんと猿弥さん。
やっぱり猿弥さんは面白いな~!!
劇中でのアドリブも楽しすぎたし(青華との恋が叶うシーンで照れ隠しに吹いた口笛がぜんぜん鳴ってなかったり(王英らしくていいよね(笑))、「猿弥!」と声をかけられて、セリフの途中で「ありがとう!」と言ったり)、ちょっとした一言でも笑いを巻き起こしてくれます。
でも、王英の役は「心は二枚目のつもりでやっている」そうです。
たしかに、アドリブは三枚目の雰囲気でしたが、かっこいい台詞のところは、ちゃんと言い回しが二枚目でした(実際かっこいいと思ったよ(笑))。
王英は不器量だけど心が男前なんだよね。だから青華は「王英さまは男前でございます」って言って惚れてくれたんだよね~。
右近さんはクイズ番組でも「天然だ」と言われてましたが、途中でいきなり、宙乗り用に脚の付け根につけているレンジャク(ベルトみたいなもの?)が窮屈で「ずっと自転車のサドルに座ってるみたい」と言い出して可笑しかったです(そしてまさかの、宙乗りで〇〇を挟んだ…というお話に…(笑)。猿弥さんの話では、(今回は出演していないですが)月之助さんが、あまりの激痛に元気がなくなってしまったことがあったそうです)。

そして、カーテンコールでは、なんと猿翁さんが登場!!
初日が終わって帰られたのだと思い込んでいたので、ものすごくびっくりしました。
でも、本当に嬉しくて感動!涙が出てしまいました。
勘三郎さんと團十郎さんを相次いで亡くされた時は、ショックから体調もすぐれなかったようですが、今回はお元気で、3度のカーテンコールも猿翁さんのリクエストだったそうです。
闘病生活は大変かと思いますが、猿翁さんの以前と変わらない情熱に触れ、こうやって再び舞台で出会えて、とても嬉しく思っています。
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