これぞ21世紀の歌舞伎だ!スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」
宝塚で「るろうに剣心」を見た次の日に、松竹座で「ワンピース」を観てきました(なんてジャンプすぎる2日間だ(笑))。
いや~素晴らしかった!まさかこんなにまで興奮するとは!
今回の感想は長くなりますよ~(笑)。

「ワンピース」がスーパー歌舞伎になると発表された時、人気漫画の歌舞伎化ということもあって、「それは歌舞伎ではなくなってしまうのではないか?」という懸念の声があったと思いますが、ふたを開けてみると、これは紛れもなく歌舞伎!それも21世紀の、現在進行形の歌舞伎でした!う~れしい~♪(笑)
プロジェクションマッピングや書き下ろしのポップス音楽を使っていても、違和感はまったく感じさせず(もし江戸時代にプロジェクションマッピングがあったら絶対使ってたんじゃないかと思います)、現代のスピード感がミックスされた殺陣にもツケ打ちの音がぴったりくる。
また、この「ワンピース」というお話は、「とある世界の、とある時代の物語」ですので、登場人物の衣装に日本的要素があっても決して不思議ではない。
古いものと新しいもの、和と洋の組み合わせを単に珍しがるのではなく、両者が混然一体となったところに快さがあり、あらためて、「歌舞伎の過去と現在はつながっている。そして猿之助さんたちが確実に未来につなげていくのだ」と実感することができました。
そして、一番重要なのは、「ワンピース」が持つ「夢」や「友情」や「信念」というテーマがスーパー歌舞伎のテーマに見事に合致していること。
そういえば、「ワンピース」の海賊たちと、(「スーパー歌舞伎」とは銘打っていませんがスーパー歌舞伎の要素がふんだんに盛り込まれた)「新・水滸伝」の梁山泊の面々にはどこか重なるものがあります(ナミとお夜叉なんてホントに似てるし(笑))。
いや、スーパー歌舞伎に限らず、登場人物たちの友情はまるで「三人吉三」のようであり、大切な人や思いを命がけで守る姿には古今の様々な歌舞伎作品と共通するものを感じます。
熱い信念を持った強く優しい男たち女たちの物語は、「歌舞伎」の根幹なのだと思いました。
そして、これは余談かもしれませんが、「るろ剣」と「ワンピース」を二日続けて観て、どんなジャンルのものであっても観客に伝えたいテーマがしっかりあって、伝える熱意があるならば、必ず人の心を動かすことができるのだと感じました。

猿之助さんが演じる主人公ルフィは、海賊ながらまだ少年なのですが、ほんとにもう、可愛らしくって!
奇をてらうところのないシンプルでストレートな台詞回しも、彼の純粋さをよく表していると思います。
そして、ごく自然に口にする、優しさや正義感にあふれた台詞に思わずジーン…。
また、宙乗りしながら客席を見つめ、手を差し伸べて歌う猿之助ルフィにも感動しました。
「お客様も一緒に参加して楽しんでほしい」「一緒に『ワンピース』の世界の住人になってほしい」という強い気持ちが感じられます。
前述のことに書き加える形になりますが、技術的なものだけではなく、ライブの要素を持ち込んだのも、「21世紀の歌舞伎」ならではという気がしました。
あと、舞を舞うような、歌舞伎的な演技がさすがなのは当たり前ですが、ダンスが結構うまいですね。手が伸びるところの振付も面白かった。
猿之助さんはもう二役、アマゾン・リリーの女王ハンコックと海賊・赤髪のシャンクスを演じています。
ハンコックは先代の作ったスーパー歌舞伎に出てきそうな(笑)女性キャラ。
誇り高く、男を寄せ付けない「氷の女王」(エルサじゃないよ)ながら、男に免疫がなさすぎるためにルフィに恋してしまう可愛らしさもあります(それにしても、ルフィってすっごく年下なんじゃないかい?)
あと、一幕の最後、小林幸子ばりの仕掛けがある真っ赤なドレス姿が実に美しい。女形の猿之助さんは赤がすごく似合いますね。
三幕でエースを失って抜け殻のようになったルフィを救い、アマゾン・リリーに滞在させるところでは、彼女の心の清らかさ、優しさをよく表現していたと思います。
シャンクスは最後にちょっと出てくるだけなんですが、めっちゃかっこよかった~!原作の絵が番附に載っていますが、髪形等、よりリアルな人間に近づけたビジュアルになっていました。
それにしても、猿之助さんが舞台上で洋装ということはほとんどないので今回はレアですね(笑)。
この大阪公演が「ワンピース」初参加、もちろんスーパー歌舞伎も初挑戦となる平岳大さんのエース。
最初の出で帽子を取った瞬間、「はぁ~…」という女性たちのかすかなため息が聞こえるほどの美男子!テレビで見るよりもイケメンでビックリしました。
平さんのことは、テレビや映画ではデビューにかなり近い頃からちょくちょく拝見していますが、ものすごくお芝居が上手くなったなと思います。
自由に生きる海賊のたくましさ、男らしさばかりではなく、男の弱さや哀しさも見せて好演でした。
大悪党の隠し子として生まれ、「自分は生まれてきてはいけなかったのではないか?」と苦しむエースの心はすごく切ないですね。
あと、アクションシーンもめっちゃカッコよかった。最初のほうで手から炎が上がるシーンがあったんですが、いったいどうやってるの?!
巳之助さんはゾロ、ボン・クレー、スクアードの三役。
ゾロは梅王丸を思わせる三本刀の遣い手で、冒頭の立ち回りがすっごくカッコいい!
あと、南郷力丸ばりの名乗りにも感動。一年前の南座を思い出します(笑)。
ボンちゃんはワンピースファン曰く「完コピ」らしいのですが、姿形以上に、みっくんが本気でボンちゃんの「心」を表現している姿にすごく感動しました。ボンちゃんが泣いっちゃってたりすると、こっちももらい泣きしそうになるくらい。
花道で見得を切るところでは、ボンちゃん=みっくんの勇姿にすっかり胸がいっぱいになってしまい、私も思わず「大和屋!」と叫んでしまいました。
あと、ボンちゃんの囚人服だけシマシマ部分にスパンコールが縫いつけてあるんですが、それを見ると「囚人S」という文字が頭に浮かびます(笑)←宝塚ファンにしか通じないような話でごめんなさい。
…ところで、ボンちゃんって何の罪で投獄されたの?(笑)
みっくんの3つの役の中ではスクアードが一番年上の役なのかな。
私がこの作品で心の動きを一番感じたのがスクアードです。
かつて、自分の大切な仲間をエースの父ロジャーに皆殺しにされた彼は、育ての父・白ひげ等、心通い合う存在に出会ってからも密かに癒えない苦しみの中で生きてきたんだなあ…と思うと切なくなります。
白ひげはきっと、そんなこともすべて分かった上で、スクアードを実の息子のように愛してきたのでしょう。
そして、白ひげの最期の時にそれを知ったスクアードの嘆きはいかばかりか…と思うと、ほんとに胸が痛いですね。
隼人さんはサンジとイナズマの二役。
サンジの「色男」なところが実にぴったり!(自分で言うか~?とは思うけど(笑))
女好きで、可愛い人魚のケイミーちゃんに抱きつこうとしてサッとよけられてしまうようなコミカルなところもいいですね。
イナズマはまるで天草四郎のよう。だけど、お花を持っていたりしてキザなのよね(笑)。
イワンコフのお小姓的な感じなのかな。
そして、たっぷりと聞かせる台詞回しの良さ。
容姿はまるでアイドルやモデルのような隼人くんですが、ああ、この人はやっぱり歌舞伎役者なんだ!と誇らしく思わずにはいられませんでした。
今回初参加の尾上右近さん。サディちゃんとマルコの二役です。
サディちゃん、めちゃめちゃ色っぽくてキレイで可愛い!!洋装でもホントに女性に見えるくらい美しいですね~。
ドSな役をやってみた感想はどうなんだろう?ちょっと聞きたいかも(笑)。
もう一つの役のマルコは白ひげやエースの仲間で、男気のある役。
宙乗りもあります。ジャジャーン!というBGMと共に、フワフワと動く手の影が見えて、誰?と思ったらマルコでした。
抜群の身体能力を生かして、宙乗りで宙返りも。かっこいいです。
この若手三人と男女蔵さんマゼランをはじめとする看守たちが繰り広げる、二幕最後の本水の立ち回りには客席大興奮!
まさか一階の後ろから三列目の私のところまで水しぶきが飛んでくるとは!(残念ながら(笑)びしょびしょにはなりません。ポツッと飛んでくるだけ)
しかも、あの水の階段を登りまくるわ、上から飛び降りるわ、大勢で飛び込むわ。客席にも水をかけるわ(笑)。大暴れです。
去年の夏は鯉が口から水を吹き出してたし、松竹座という劇場は年に一回くらいは水びたしにならないと気が済まない劇場なのでしょうか(笑)。
この場面の後に限らず、一幕ごとに舞台のお掃除をしてくれる大道具さんには感謝です。
スーパー歌舞伎参加2作目の浅野和之さんはイワちゃんことイワンコフとセンゴクの二役。
やっぱり浅野さん最高!(笑)エンターテイナーですね。
今回はちょっとだけ義太夫狂言風のところもあり、竹本の台詞回しも披露。
猿之助さんってば、すごい挑戦をさせますね。いくら浅野さんがスーパー歌舞伎2回目だからといってもスパルタすぎだろう(笑)。
イワちゃんはあの風貌にビックリしますが、まあいえばオスカル様だよね(笑)。「革命を起こそう」と気炎を上げるシーンではいつ「バスティーユ」のテーマがかかるかと期待してしまいました(かからないかからない(笑))。
センゴクは巧妙なワル。まるで皇帝のような姿に普通っぽい眼鏡というギャップが面白いですが、底知れぬような怖さに思わずゾクッ。さすがです。
アバロ・ピサロを演じた寿猿さんには思わず拍手!お年を召したといっても、ワイルドで男気のある役はぴったりです。
猿弥さんは黒ひげとジンベエという、悪と善の二役。  
黒ひげは出番としては少ないんですが、いかにも悪役!いかにも海賊!という風貌(名前も黒ひげだし(笑))。似合うなあ(笑)。
ジンベエの親分は、気は優しくて力持ち。猿弥さんにぴったりですね!
星が浜でルフィの悲しみを癒してあげようと集まる女性たちを見つめながら、しみじみと話す台詞に感動しました。なんかここは二枚目って感じ(笑)。
笑三郎さんのニョン婆は、ハンコック姉妹の秘密を守り、かばうルフィを「偉い!!」と褒めますが、ルフィも偉いし、ニョン婆も偉い!人間も魚人も奴隷だった人も関係なく、みんな同じ大切な存在だと感じているニョン婆の心に打たれました。
それにしても、「婆」って付いてるけど、めっちゃキレイだよね。キャラクターも笑三郎さんの上品な美しさに合っていたと思います。
門之助さんのつるは女性の軍人。それでいて優雅に打掛を羽織った姿に興味を持っていたのですが、思ったよりも男っぽい声で、中将の武張った感じをよく出していたと思います。
男女蔵さんの監獄署長マゼラン。体から毒を発するシーンは煙の出る仕掛けも面白かったですが、セリフの迫力がすごいです。
やっぱり男女蔵さんは素敵だな。本水の立ち回りでも思いっきりやってましたね。
この作品で一番盛り上がるのは、なんといっても二幕の最後、ニューカマー!
客席も総立ち!出演者もお客さんも一体になってすごく楽しかった。こんな機会を与えてくれてありがとう!
客席降りがあったのですが(なんと2階3階でもあったみたいです)、猿四郎さんのシミズ、近くで見てもなかなか可愛かったよ(笑)。中の人が黄猿ボルサリーノと同じだとはとても思えない!(笑)
そして、大好きな蔦之助さんとハイタッチしたあ!!美しい女形姿に定評がありますが、そばで見てもめっちゃキレイ!
あと、勢いあまって市瀬秀和さんのひじに私の手が当たってしまいました。ごめんなさい。
ニューカマーではなく男だけど(笑)石橋直也さんのダズ・ボーネスの勇ましさにグッときました。
ブルックと赤犬サカズキで大活躍の嘉島典俊さん、あのチビ玉くんがこんなに大きくなって…というか、もうすっかり大人でびっくりしました。
ブルックは骸骨なので、あのメイクでは嘉島さんだと気がつかなかった(笑)。
赤犬サカズキでのエースとの戦いのはすごい迫力だったなあ。(「炎」をテーマとしており、「ヤマトタケル」の焼津のシーンを思い出しました。)
石橋さんとダブルキャスト(?)でめちゃくちゃ可愛いチョッパーを演じた市川猿(さる)さんとは…なんと、子役の日下部大智くんではありませんか!!いやー嬉しい。歌舞伎俳優になったのね!
子役出身の人たちが積極的に歌舞伎界に入ってこられる(ここ半年ほどで3~4人くらい入ってこられました)。こんなに嬉しいことはありません。
それにしても、シンプルに「猿」という名前を付けるなんて、猿之助さんらしいなあ。
段之さん、マリリン・モンロー似の侍女からバギーまで、自由自在にこなす演技力に驚きました。普段は柔らかく優しい雰囲気の女形をよくされてますが、何でもできる人ですね~(ご飯が必需品すぎて楽屋で白ご飯も炊くし(笑))。
もう一人の侍女の喜昇さんもめっちゃ可愛くてびっくり(どうしても「新・水滸伝」のおばちゃん役の印象が強いので…)。
猿三郎さんは冒頭からハキハキした台詞回しで客席をグッと引き込み、うまく「ワンピース」ワールドへと導いてくれました。猿三郎さんの声ってなんか好きなんですよねえ。
喜猿さんのハンニャバル(途中まで喜猿さんだと気付かなくて、番付を見てびっくり!)は、普通のハンニャバルとボンちゃんが変身したハンニャバルを演じ分けないといけないんですが、ボンちゃんバージョンで声が似すぎてて爆笑でした!
新橋演舞場ではマルコで活躍だった喜楽さん、今回はリトルオーズJr.で、ものすごく大きくて(衣装の中で高下駄?竹馬?を履いています)歩くのも大変だろうと思いますが、弁慶の立ち往生を思わせるシーンもあって、荒事の雰囲気が出ていていいなと思いました。
最後に、右近さんの白ひげ。衣装も「義経千本桜」の知盛をモチーフにしていますが、心意気もまるで知盛のよう。
とにかく、白ひげに知盛がかぶって、ホントに切なくて泣きそうになりました(「息子」たちに後を託して壮絶な戦死を遂げるシーンで、安徳天皇を義経に託す知盛を思い出しました。「昨日の敵は今日の味方」にはなってくれなかったけどね…)。
そして、どんな時でも「息子」たちに寄せる彼の大きな愛が舞台上にあふれていてジーンときました。
あと、白ひげの一味が出てくるところの盆回しは、「新・三国志」か「新・水滸伝」かという感じですごくかっこよかったです。

かなり色々書きましたが、ここに書ききれなかった人たちもみんな大好き!
これから先、他の演目でも拝見することはたくさんあると思いますが、できれば、またいつか「ワンピース」で逢い見えんことを!

それにしても、今回は全体のおよそ50~60%くらいはいつもと客層が違う感じ。
出演者・スタッフ以外の若いお兄ちゃんがこんなにたくさんいる松竹座は初めてかも(笑)。
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