痛快!「スカーレット・ピンパーネル」
季節の変わり目ですぐ疲れてしまうため、なかなか感想が書けなかったのですが、梅田芸術劇場で「スカーレット・ピンパーネル」を見てきました。
宝塚版ともブロードウェイ版とも違う東宝バージョンということで(ブロードウェイ版は見たことないけど、パーシーではなくマルグリットが主役で上演時間も少し短いんだよね、たしか)、同じフランク・ワイルドホーンさんの曲を使いながらも、違う歌詞(歌のタイトルも違う)、違う演出で、「こういうふうにも上演できるんだ」という発見がありました。
話の内容は、宝塚版でのダイナミックな王太子(ルイ17世)救出作戦は使われず、その代わりにパーシー、マルグリット、そしてショーヴランの心理的なかけひきをじっくりと描き、マルグリットが「スカーレット・ピンパーネル」と会話するというシーンまであってドッキドキでした。
また、パーシーの友人とその恋人のロマンスの場面はなく(アンドリューもいなかったし、その恋人のシュザンヌは名前のみの登場でした)、パーシーと仲間の友情をクローズアップして描いていたと思います。
アジトでパーシーに「ここから先は危険なのでみんなは帰った方がいい」と説得され、泣きそうになっている仲間の顔に、こちらも思わずもらい泣きしそうになりました(結局みんなパーシーと一緒に行動したけどね)。
ラストはほぼ宝塚版と同じ。
あえてシリアスな感じにせず、こういう終わり方にするのが痛快でオシャレで面白いですね。

パーシー・ブレイクニー卿の石丸幹二さん。
「スカピン」は宝塚で初演された後、男女のキャストではなかなか上演されず、「パーシーは歌もたくさんあるし、演技的にも別人に成りすましたりと大変なので、キャスティングで難航しているのかな~」と思っていたのですが、華も実力もある石丸さんは願ったり叶ったりの配役!見る前からとても楽しみにしていました。
はしゃぐふりをするところなどは早口になってしまった感がありますが、台詞がないところでも目線の使い方などでパーシーの心の内や信念を表していたと思います。
歌声は朗々と響くところはもちろん、繊細な感情を表すところも上手だなと思いました。
安蘭けいさんのマルグリット。
華やかで気が強く、コメディ・フランセーズの主演女優の貫録十分。
イギリスの貴族で富豪であるパーシーと結婚することで自分の立場の曖昧さに悩む(「フランスが革命の行きすぎで混乱している時期に、元革命の闘士である自分はお気楽な金持ちの夫人として生きていいのか…」という痛いところをショーヴランが突いてきてしまった…と感じているような)姿や、急に態度を変えてしまったパーシーへの戸惑いと、まだ捨てきれない愛をじっくりと見せてくれたと思います。
そしてクライマックスには二刀流で戦う(笑)。何といっても日本初演のパーシーはこの人ですからね(笑)。
また、葛藤しながら歌う「悲惨な世界のために」は、かつてパーシー役で歌った「ひとかけらの勇気」(同じメロディです)を思い出してウルウルしてしまいました。
石井一孝さんのショーヴラン。
石井さんを見るのは超久しぶりなんですが(以前見たのは「出島」で「長崎は今日も雨だった」を英語で熱唱していた姿ですから(笑)、もう10年以上になるのではないでしょうか)、いい感じに渋くなり、それでいて、貧乏から這い上がった青年のままのショーヴランの心も表現できていたと思います。
しかしながら、ショーヴランは無意識のうちにロベスピエールや自分たちの敷いた体制が危うくなっていることも感じていたのではないでしょうか。
だからこそ、自分が正しいと信じているものを、マルグリットにも正しいと思い続けていてほしかったのではないかと、終演後に思いました。
素晴らしかったのはロベスピエールとプリンス・オブ・ウエールズの二役を演じた佐藤隆紀さん。
東宝ミュージカル初演にあたって、新たにロベスピエールの歌が加わったのですが、これが実に上手い。さすがです!
あの一曲があるだけで、ロベスピエールのイメージが変わりますね(もし、来年上演される宝塚版の再々演でもこの歌を使うとしたら、かいちゃん(七海ひろきさん)、ぜひぜひ頑張って~!)。
普段はヴォーカルグループとして活躍しているので、他の人と一緒に歌うところでは、相手の声と自分の声を共に美しく響かせることができていて、そこも素晴らしいなと思いました。
また、早替わりもあります。
演技を変えるだけではなく歌声まで一瞬にして変えていて、客席からどよめきが起こったほどでした。
パーシーの仲間であるピンパーネルのメンバーは皆、等身大の青年役を懸命に演じています。
オジーの駒木根隆介さんは歌舞伎でいうなら市川猿弥さんという感じで(笑)、コミカルで元気いっぱいでとても楽しかった。
デュ―ハーストの上口耕平さんは最初の出だけでもパーシーの親友であることをはっきり感じさせてくれて嬉しい収穫でした(あと、3階席から見るとちょっと要潤さんに似てるかも~)。
ピンパーネルであることを隠すため、孔雀のようなハデハデなファッションに身を包み(パーシーは孔雀そのまんまでした(笑))、お気楽な若者を演じるところでは、「ニシキゴイ!」と言いつつポーズをとるのが面白かった(笑)。さてさて、宝塚版ではどんな格好になるのでしょうか(前回と前々回、パーシーはシマウマ柄の衣装でした(笑)。そのままいくのかそうじゃないのか、楽しみだ~(笑))。
則松亜海ちゃん(宝塚時代の、夢華あみちゃんと呼ぶ方がなじみがあるなー)のマリーはアルマンの恋人ではなく、芸術家で、コメディ・フランセーズのスタッフであるタッソーの恋人でした。
あみちゃんはすっきりした雰囲気が役に合っていたと思います。ラストシーンでタッソーと結婚したのでマダム・タッソー(ロンドンにある蝋人形館を作った人)になるというのは笑ったな。

今回の終演後には、佐藤さんと、彼の所属する「LE VELVETS」メンバーによるトークショーが行われました。
二度くらいテレビで見たような気はしますが、生歌は初めて。やっぱりさすがですねー。
トークは、最初は皆さん緊張気味のようでしたが、見ながらつい登場人物に感情移入してしまう…という話や、佐藤さんのお稽古場の裏話などをするうちにだんだんほぐれてきて、もっといろいろなお話を聞きたかったな~と思いました。
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