初春文楽公演
今年の初芝居は文楽です。
私が見た昼の部は「寿式三番叟」「奥州安達原」「本朝廿四孝」と超豪華な演目ぞろいで、かなり前から楽しみにしていました。
演目と同時に楽しみだったのは、お正月の風情。
国立文楽劇場はどこの劇場よりもお正月らしいお正月を味わえるところでもあります。
正面玄関の門松や、餅花や鏡餅が豪華に飾られたロビー、舞台の上部正面に掲げられた睨み鯛に今年も出会えて感無量でした。

最初の「寿式三番叟」は、おごそかで華やか。
格式の高い演目で、今回は国立劇場開場50周年を記念しての上演です。
いつもは床に並ぶ太夫と三味線も、大人数で正面奥に2段に並んでいて、それだけでも豪華でした。
そして、この式三番叟がなぜ格調高いのかが分かった気がします。
なにしろ、神様の名前がたくさん出てくるし、翁の舞も、天の岩戸の前での神様の舞を再現したものだし、その神様たちが五穀豊穣を願っているという意味の作品なんですよね。おめでたさ抜群です。
二人の三番叟の踊りは実に華やかで軽快。
人間があの踊りをやり続けたら疲労困憊になってしまいますが、人形なのですごく長時間踊ってます(でも時々休んだりするのがカワイイ(笑))。
いかにも新年に相応しくて大満足でした。

「奥州安達原」は、なんちゅう話やとは思いますが(笑)(←しかも、これは長~いお話のほんの一場面。全部のあらすじを調べてみたらかなり複雑で、さらに「なんちゅう話や」度がUP!(笑))、袖萩が可哀想で可哀想で仕方なかった。お母さんの浜夕も可哀想だし、娘のお君も可哀想。
お父さんの傔丈も厳しいことを言っていますが、娘がそばにいても会えないまま切腹しなければならなくて可哀想。
おーい、貞任、いくら正体を隠してても妻の死くらいはちょっと心を動かせよと思うんですが、考えてみれば貞任もお父さんを殺されてるし、一家離散してるし、けっこう悲しいんですよね。悲しみのあまり、なりふり構わぬ復讐の鬼になっているのかも。
それでも、鬼の目に涙というか、最後には幼い娘のお君と別れ難く思ったりするので、普通の人間としての気持ちは持ち合わせているんですよね。
それにしても、すごくびっくりしたのは袖萩が三味線を弾くところ!
文楽人形は右手と左手を動かしている人が違うので、二人で一つの三味線を弾いているんですよね。すごすぎる!
しかも、本物の三味線の音にちゃんと合ってるし!(三味線の方の手と袖萩の手の動かし方がまったく一緒なんです)

新春ということで、2部が終わったところで手ぬぐい撒きがありました。
太夫さんたちにずいぶんたくさん投げていただいたし、若い咲寿太夫さんなどはかなり遠投されてましたが、私のところまでは飛んでこなかった…。来年はキャッチしたいです。

「本朝廿四孝」は、ずっと前から見たいと思っていて、待望の上演です。
十種香(「じゅっしゅこう」だと思ってたら「じゅしゅこう」と読むんですね~)の段は、失礼ながら途中で眠気に襲われてしまったんですが、肝心の話の筋はちゃんと分かりました。
謙信の戦国武将らしい知略に富んだ面と威厳も印象的だったし。
奥庭狐火の段では、八重垣姫のまっすぐでひたむきな思いが、火の玉のようなパワーで伝わってきます。
「愛しい人を救うためなら、狐に憑かれてでも凍った湖を渡ってみせる!」という強い気持ちが感じられました。
それも、あのイリュージョンのような幻想的な場面があるからこそ。
有り得ないことが起こることで、「愛」の表現がより増幅する気がしました。
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